特集

考えるシリーズvol60・専門医を考える

File.1 痙攣をおこす・発達障害・チック

とくなが小児科クリニック

小児神経内科には、どういった症状がある時にかかるのですか?
 小児神経内科は、大人の神経内科の小児版で、脳、神経、筋肉の病気を扱います。具体的には、けいれんを起こすような病気(てんかんとか熱性けいれん)、運動に関する病気(例えば力が入りにくいだとか、歩き方がおかしいだとか、麻痺だとか、チックなども含めた変な動きがある場合)、発達の遅れ、頭痛、心身症、発達障害(多動性だとか自閉症とか)、全体的な発達の問題があるような方も、小児神経内科の対象です。割合としては、てんかんが多いです。てんかんは千人に八人くらいいるという病気なので、皆さん気づかないだけで、一学年三クラスあれば一人くらいいるという計算ですね。


運動に関わる症状も小児神経内科の対象ですか?
 運動に関わるものが必ずしも小児神経内科の病気とは限らず、整形外科的な病気の場合もありますが、見分ける窓口は小児神経内科でいいと思います。運動の症状というと、例えば、僕が診たことのある患者さんでは、一歳くらいで右手をあまり動かさないことに気付かれ、頭部MRIで調べてみると、小さいときに起こったと思われる脳梗塞があった、という方がいました。また、急にふらつきが出て、立ったり座ったり姿勢を保つことができなくなった患者さんがいて、この方は急性小脳失調症という病気でした。これは、いろいろな感染症などの後に起こることのある、急性の病気です。


熱性けいれんで心配されるお母さんもいますが、けいれんが起こった時はどういった対処をしたらいいですか?
 初めてけいれんを起こした場合には、病院を受診した方がいいでしょう。それが熱性けいれんか他の病気であるかどうか、おうちの方には判断が難しいですからね。何回かけいれんを起こしたことがある場合には、一度は医療機関で相談されて、熱性けいれんの診断を受けていることも多いと思います。診断には、詳しい検査をする場合もしない場合もあります。けいれんの状況が、「年齢が低い」「熱の上がりかけ」「全身性」「短時間」などの条件がそろっている場合には、すぐに検査をしないことも多いです。熱性けいれんという診断がついていれば、同じようなけいれんの時には必ずしも焦る必要はありません。逆に、けいれんが典型的でない場合(長引く、高熱ではない、右か左か片側が強いけいれん、何度も繰り返す、年間で回数が多い)などのけいれんの場合は、一度検査をすることをお勧めします。最初は、かかりつけの先生に相談してアドバイスをもらってもよいですし、検査が必要そうな場合や、心配な場合は、小児神経内科を紹介してもらうとよいでしょう。


てんかんや発達障害に母親が気付く目安はありますか?
 てんかんに関しては、あからさまな全身けいれんがあれば気付くと思います。気付きにくいてんかん発作として、「寝入りばなだけのぴくつき」「ボーッとする発作(欠神発作)」などがあります。まれですが、「おねしょをする」などの症状の中にてんかんが混じっていることがあります。これらの症状が気になるときには相談してください。発達障害については、北九州市の母子手帳を持っている方でしたら、母子手帳の三歳児健診のアンケートの真ん中に、発達障害にも関連する項目を集めてあります。ただし、ここにチェックがついたら必ず発達障害というわけではありません。三歳児健診の頃が比較的気付かれやすいと思いますが、それ以前でも、興味の偏りだとか、言葉の遅れとか、そういうことで気付かれることもあります。注意すれば、一歳代でも発見できるとは言われていますが、実際にはなかなか難しいです。一歳半健診の時に、そうかな?と思われるお子さんがいても、その時点ではなかなか正確な診断がつかないことも多いです。一歳代では、興味の偏り、コミュニケーションの問題、同じ行動を繰り返す、言葉の遅れなども含め、気になることがあれば、一歳半健診の時に相談していただくのがよいと思います。すぐに詳しい検査にならないとしても、三歳児健診までは定期の健診が一年半ほどありませんので、かかりつけ医で定期的に診てもらうことで、より早く診断できる可能性があると思います。


チックではないかと思った場合、病院にかかるべきでしょうか?
 チックというのは、体の一部の筋肉が瞬間的に動く、「不随意運動」の一種です。中には、「複雑性チック」と言って、いかにも目的があるような行動、たとえば、飛び跳ねる、人や物に触る、といった行動が、実はチックであることもあります。チックは、非常に軽いものから重症なものまで含めると、十人に一~二人とかなりの頻度で見られます。軽いチックなら数ヶ月から一年以内に治まることが多いですね。初めて気付いたという方は、必ずしも大慌てで治療をしたり、検査をしたりしなくてもいいだろうと思います。ただし、チックが出たり消えたりする場合はよいのですが、どんどんひどくなってくるような場合には、てんかんなどとの見分けが必要な場合もあるため、医師に相談してもらった方がよいでしょう。脳波やMRIなどの検査が勧められる場合もありますし、症状の起こり方で、違うだろうと検討がつくこともあります。まずはかかりつけの先生に相談していただき、必要があれば、小児神経内科や、小児科の神経外来がある病院に紹介してもらいましょう。軽いチックは特別な治療を必要としないことが多いのですが、チック症状の状態によっては、治療を考えます。

その一つは、「チック症状が消えずに一年以上続く場合」。チック症状が、形を変えながら次々に新しいものが出てくることもあります。また、「複数のチックが同じ時期に出てくる場合」。特に「あ!」と声を出すような音声チックと言われるものを含む複数のチック症状がある場合」。もう一つは、「困るチックのある場合」。例えば、手先のチックで、鉛筆で書こうと思ったらポンと投げてしまって書くのに困る、とか、コップを持っていたら落としてしまうとか、音声チックで授業中に「あ!」と言ってしまう、など、日常生活で困るようなチックがある場合です。これら三つの場合には、詳しい診察、検査、治療等が考慮されます。治療は、本人や家族への指導や説明、環境調整や心のケアが第一に行われます。薬を使うこともありますが、薬だけではよくなりません。必ず環境調整などを同時に行う必要があります。チックは、幼稚園から小学校頃の、発達する途中のお子さんに起こり始める場合が多く、十歳頃に最もひどくなると言われています。薬は、脳や神経の発達に影響を与える可能性もあるとされていますので、使う場合は、必要最小限の量で、副作用に注意しながら使うことが必要です。薬を使うことを考えるような場合は、小児神経内科に相談するのがよいでしょう。




File.2 とびひ・イボ・あざ・怪我の傷跡

医療法人 村田クリニック

こちらを受診されるお子さんで、多い症状はどういったものがありますか?
 夏場は、とびひ・あせも、冬場には、乾燥肌やアトピーが多く見られます。とびひは一ヶ所でもじゅくじゅくしていると悪化するので、自己判断の治療をせずに、なるべく早く皮膚科を受診してください。また「子どもに魚の目ができました」と来られる患者さんを診ると、イボのことが多いです。イボは、ウイルス感染になりますから、放っておくと大きくなったり数が増えてうつったりします。水イボも小さいお子さんに多い皮膚病ですが、冬場で肌が乾燥していたり、元々アトピーがあって肌がかさかさしている子の場合は、短期間で増える場合があります。治療としては、一個一個ピンセットで潰すので痛いんですね。ですから、なるべく数が少ないうちに受診していただく方がいいと思います。


子どものあざは治療できますか?
 あざは生まれつきのものもありますので、来られる方は多いです。治るあざと治療が難しいあざ、手術が必要なあざ、レーザー治療ができるあざがあります。長期置いておくと将来的に悪性化するタイプも、まれにあります。レーザー治療の場合、身体の小さいうちにした方が、範囲も小さくて狭いですし、効率もよく、保険も乳幼児医療が使えるので治療費も低く抑えられます。全身麻酔の治療が必要な広範囲の場合は入院ということもありますので、その場合は大きい病院でお願いする場合もあります。あざによっては、どういう治療法があるのか、料金がどのくらいか、保険が効くものと効かないものがありますので、まずは受診をしていただくといいでしょう。


やけどをした場合の対処法は?
 応急処置としては、十分冷やしてください。救急車を呼ぶような広範囲のやけどは冷やすとかえって低体温になってしまう可能性がありますが、小さなやけどであれば水道水で30分以上冷やし、アイスノンや氷水などで冷しながら受診するといいでしょう。浅いやけどの場合は、皮膚が下から再生して元に戻りますが、深いやけどの場合は、皮膚の再生能力がなくなってしまいますので、瘢痕(やけど痕の状態)になってしまうことがあります。

ただ、昔であれば傷痕になってしまう深さのやけどでも、医学は進歩していますので、より痕が残らないようにすることができるようになっています。やけどは皮膚科でも診てもらえますが、手術が必要になってくる場合の大きなやけどは、形成外科で診てもらった方がいいと思います。

怪我の傷痕が気になるのですが…。
 子どもは怪我をすることも多いと思いますが、傷痕を残したくないというのが親心だと思います。形成外科というのは、綺麗に傷痕を治すというのが得意分野になりますので、傷痕を治したい場合は、形成外科で傷を診てもらう方がいいです。形成外科は怪我ややけど、先天的なあざなど、皮膚の対表面の異常や損傷を修復してより正常な状態にするという治療をしています。




File.3 脚の痛み・変形・歩容異常・発育遅延・腫れ・発赤

土屋整形外科

整形外科はお年寄りが多いイメージですが?
 現在は骨祖鬆症や腰痛など高齢者の治療がメインだと思われがちですが、本来は、小児の骨の異常を矯正することを意味したのが整形外科です。元々は子どもの体幹や四肢の異常を治すということが原点でした。


脚で受診されるお子さんは、どういった疾患が多いですか?
 多くのお子さんは、痛み、変形(O脚やX脚、内反足等)、歩容異常(内施歩行、跛行等)、発育遅延(立ち上がりや処女歩行が遅いなど)、腫れ、発赤など多岐にわたります。また、形態や発育については病的なものでなく、単なる個人差という場合も多いようですが、他の子どもと違うということで心配されるご家族も多いようです。大人と違い、乳幼児期の子ども達は的確な訴えができないため、形態や歩容の異常、発赤、腫れで判断したり、押さえて顔をしかめたりなどということから異常部位を見つけることが必要になります。股関節の疾患でも、子どもは「膝が痛い」と教えることもよくあり、例えば「足が痛い」という訴えでも、股関節か膝関節か足部かわからないこともあります。小児特有の「膝の辺りが痛い」という訴えの場合、膝のレントゲンだけではなくMRIなどの検査までして、異常が見つからないと困られることもあるようです。小児の病気には非常に珍しいものも多く、私自身医学書では読んだことはあるものの、実際には診たことがない病気も多いですし、受け持った患者さんが非常にまれな病気で日本語の医学書には記載がなく、外国の医学書でやっと見つかったということも経験したことがあります。小児の異常を認めた場合、整形外科医だけでは判断できず、小児科や放射線科、脳外科の先生方の診断を要したり、リハビリの理学療法士などの運動療法や装具の装着等の治療をすることも多く、チーム医療が重要です。


成長痛とはどういった症状ですか?
子どもの痛みの原因として、成長痛という診断をつけられることがあります。活動性が活発になる時期に筋肉の使いすぎで炎症を生じたため、痛みが生じている場合が多いようです。しかし、下肢の気質的な異常がない場合に便利な言葉ですが、本当は関節や骨などの疾患があるにもかかわらず的確に診断できなかったため、成長痛と告げられていることもあり、専門医以外が安易に診断名としてつけ、親も放っておいたら治ると信じて、実際は治療が必要な疾患が放置されている場合もあり、不適切な診断名とすべきであるとの意見もよく聞きます。
子どもの病気は、最初の一歩が非常に重要で、そこできちんと診断し治療すればその子はすくすく育つことができますが、誤ると障害が残る場合もあります。子どもの病気は両親をはじめ、周囲の大人に責任があり、日々その子の状態をしっかりと見ることが重要ですし、我々医療従事者は十分な知識を得た上で診療に携わり、見落としを防ぎ、適切な治療をすることが重要と考えています。日本整形外科学会では、一定の経験を積んだ上で審査を受けた整形外科医師に対して整形外科専門医の資格を与えております。子どもさんに少しでも異常な状態が見られた場合、整形外科専門医の診察を受けることが重要だと思います。




医療法人 村田クリニック〈皮膚科・形成外科〉

ご夫婦で医師として患者さんのケアをされている村田クリニック。ご夫婦ともに、優しく穏やかな印象で、県外からの患者さんもいるそうだ。また、デリケートな部分での受診は、女医さんに相談したいという声も多い。子育てを経験した同じ目線の村田先生(奥さん)は、母親にとっても心強いのではないだろうか。その上、しみやしわなど美容の部分で相談できるのも嬉しい。

住所/北九州市小倉北区昭和町13-23
TEL/093-941-0606
診療時間:9:00~12:30 14:00~18:00
休診日/水曜午後・日曜・祝日
土曜日は午前9:00~13:00
午後13:00~17:00は予約診療のみ
http://murata-cl.com/

とくなが小児科クリニック〈小児科・小児神経内科〉

とてもわかりやすく、丁寧に話してくださった徳永先生。小児科でもあるが、小児神経内科の子どもたちと向き合うために、第2・4・5火曜日は、小児神経内科として時間を割いてある(予約制)。他に、北九州市内で小児神経専門医が常勤されている病院は、国立小倉医療センター、産業医科大学の小児科、市立総合療育センターになる。

住所/北九州市小倉北区霧ヶ丘3丁目13-22
TEL/093-932-0250
診療時間/9:00~12:30 14:00~18:00
休診日/木曜午後・土曜午後、第1・3火曜午後・日曜・祝日
※第2・4・5火曜は小児神経内科(予約制)
http://www.toku-shonika.com/

土屋整形外科〈整形外科・リハビリテーション科〉

小児整形の話をしっかりと語って下さった土屋先生。笑いあり涙ありの取材の中で、先生の整形外科に対する想いがヒシヒシと伝わってきた。「子どもとお年寄りが好きなんです」と話す先生は、今回写真はNGだったがとても優しい印象。「患者さんと友達になる」というのが、病院のコンセプトでアットホームな雰囲気が漂う病院だ。

住所/京都郡苅田町大字尾倉4078-1
TEL/093-435-3337
診療時間/9:00~12:30 14:00~18:00
休診日/水曜午後・土曜午後・日曜・祝日


 

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