特集

ドンナマンマ61号では、"不登校を考える・前編"として、体験談・北九州市の対応、実態等をお届けしました。今号では、『心』にスポットをあてお届けします。

不登校になったとき、どう対応したらいいのでしょうか?

『不登校を考える〈前編〉』で頂いたアンケートからも、子どもが学校に行かなくなった場合、どう対応したらいいのかわからない保護者の方が多いことがわかりました。そこで、小児の心相談を受けておられる、小児科のキンダーラウムムクノ 向野公味子先生に対応の仕方を伺いました。

特集のお話を頂いてから、何を伝えたいかをずっと考えていました。編集部は「実際になった時に、親はどう対応するのがよいか」をテーマにとのことでしたが、読者の方は就学前の子どもさんを持たれた方が多いと聞きました。不登校も不登園も基本的な対応は同じ。ドンナマンマの「考える」シリーズにも書かれていましたし、前編のアンケートにも色々な方の回答が掲載されていました。この回答には、本当に感心しました。皆さん、賢いお母さんをされているなぁと。この相談クリニックを開設してからはたった八年の経験ですが、いつでも誰にでも正しい方法などはないと思えます。また、反対に絶対間違っているという対応もないと感じています。


学校に行けなくなった原因も人様々、幾つもの要因が絡み合って何が何やらわからないということも多い。お母様が末期癌で死期が近い、慢性疾患で児の登園中に入退院を繰り返している、放課後に呼び出されてリンチっぽい扱いを受けるなどというのはわかりやすい。虐待を受けている子、この子が可愛いと思えないという母の子ども。原因の多様さだけでなく、同じ子どもでも、時間の流れで対応方法は違ってきます。困っていることを聞いてあげようとしても何も答えないかと思うと、何時間も、それも殆どが夜中に母親に語り続けて母を眠らせない時期もあります。登校刺激もお友達のメールや電話も恐怖の対象でしかない時期、お友達の誘いが踏み出す一歩になる時など様々で、それらを見極める愛情と余裕が周囲に必要なのです。



大切なことは、その子が何かを悩み苦しんでいる、幼児なら幼児なりに、思春期なら思春期なりに何とかしたいと闘っているという姿を受け止めてあげること。苦しまない子、闘おうとしていない子は不登校にはならないでしょう。ただ、その苦しみからなるべく早く楽に抜け出させてあげたいと望むのは、親として当然です。


では、実際にどう対応するか?来談者中心療法を唱えたアメリカの心理学者ロジャーズが「人格変化の必要十分条件」の中で、セラピストの三条件として有名な「真実(一致・統合)、無条件の肯定的配慮(受容)、共感的理解( 共感)」を説いています。平たくいえば、相手にも自分にも正直に忠実に、何の条件もつけずにその人を丸ごと受け入れ、相手に共感し、共感していることを相手に伝えること。受け入れてもらったと感じた人は、変わってゆけるという主張です。登校できなくなった子ども達への基本的な姿勢もこれだと思います。これだけで子ども達は少しずつ、ゆっくりゆっくりですが落ち着き本来の自分を取り戻していきます。言うは易しく行なうは難し!だからその子を取り巻く皆で支えあう必要があるのです。家族、学校、セラピーの専門家、社会資源の全てを利用してがんばるのです。

では日々の生活の中で、具体的にはどうすればいいか。
まず身体の病気がないか罹りつけの先生に診ていただく。小四の十二指腸潰瘍の経験もあります。身体疾患を否定されたら相談できる児童精神科や心療内科の先生が近くにいらっしゃるといいけど…。不登校の症状の奥に、子どものうつ病や統合失調症などの精神障害が隠れていることもあるし、登校できない不安や焦燥から不眠や吐き気、腹痛などの自律神経症状、うつ状態、学校にも行けない自分は詰まらない奴、親に心配をかける自分などいないほうがいいなどのいわゆる自尊感情の低下は必発です。退行と云って赤ちゃん返りもします。不思議ですね。原因は何であれ、学校、仕事に行けなくなったら子どもも大人も同じ心の動きを示してきます。だからそれをよくご存知の先生に相談しながら、ゆっくり待つのが一番の早道です。

プロフィール
北九州市出身。平成10年まで元国立小倉病院小児科医として勤務後、東亜大学大学院臨床心理学専攻で研修。
平成14年、子どもをめぐる相談クリニック キンダーラウム ムクノを開設。

私の診療所で多い相談を書いてみます。
昼夜逆転などの睡眠障害、漫画やゲームへののめり込み、物を投げたり暴言を吐いたりの異常行動、甘え、わがままのしたい放題などです。子どもは不安や苛立ちをなだめて自分の心を守る防衛という機能が発達していませんし、大人のようにお酒や買物で紛らわせる手段も持ち合わせてないので、上記のような症状でしか今の不安などを表すことも解消することもできないのです。ロジャーズの心で受け入れ、心行くまで甘えさせましょう。今まで教え育ててきたことが消えてしまうことはありません。必ずそこに戻ります。わが子を信じて待ちましょう。焦る心を必死で抑えましょう。子どもは、もっと焦っていますよ。だから大丈夫、と言ってあげましょう。

心理学にはいろいろの学派があり、精神科医にもセラピストにも得意とする分野があります。甘え療法、非指示療法、認知行動療法、遊戯療法、音楽療法などなど、どのセラピーに出会うか、どの治療法がピッタリなのか、よい出会いがあるといいですね。辛い時期は長いけど、わが子と自分を信じて、がんばって待ちましょう。

(キンダーラウムムクノ 向野公味子先生)

 

 

日本フリースクール協会 九州支部 茶屋町総合学習センター

1997年、進学塾ではなく、個別の救済型学習塾としてスタートした茶屋町総合学習センター。集った生徒の中には、どこの塾からも受け入れてもらえなかったり、他の生徒達と一緒に授業を受けることが不可能だったり、登校拒否の子どももいた。「不登校ってこんな身近にいるんだ」と思ったのが始まりだった。ほんのちょっとしたきっかけで、学校に行けなくなってしまう子どもたちが多いこと、不登校になっても早い時期にきちんと対応していけば、学校に戻れるケースもあることなどを子どもたちから知らされた。塾を運営する高柳夫妻は、彼らが学校や社会に復帰してゆく手助けをする場、そしてそれと同じように、その家族を多方面から支援する場が必要だと感じるようになった。

たまたま目にした新聞で、日本フリースクール連盟(後のフリースクール教会)の発足を知り、子どもたちとの関わり方などの勉強を重ね、1999年フリースクールとして本格的に活動を開始。

それから10年間、一人ひとりを大切にすることをモットーに、たくさんの生徒や保護者に出会ってきた。ここに来た生徒が学校に行かないまま家にこもってしまわぬよう、まず外へ出る練習を行なうそうだ。次にコンピューター等、興味のあることから得意分野を見つけ、遊び感覚で自然に学習を始める手助けをする。自信が回復したら、自主的に勉強をするようになるそうだ。教材は担任の先生から教科書やプリント類を届けてもらい、学校や教育委員会との連絡も密に行なっている。そうすることで、復学もしやすくなるという。また、居場所を求めてきている人たちには、弱い立場の人の援助をしてもらい、自分が大切な存在だと自覚してもらうように応援している。
そして、わが子の辛そうな姿に涙し、自分達を責める保護者のためにも支援を行なっている。現に関わった保護者の中には、地域の人から「お母さんが変わらないとね」と言われ、自分の子育てを責め、学習センターの門を叩いた人もいた。不登校生や引きこもりの人を救うには、家族からの支援が先決だと痛感している。そこで、毎月第二日曜日の14時から、『親の会』として話しを聞く時間を設ける他、年に二回、勉強会・講習会を実施。家族の中心になる人(例えばお母さん)が明るくなれば、家庭にも笑顔が生まれ、子ども達にも変化が見られるのだという。


「この10年の間に、主人が他界しました。告別式には、人前が苦手なはずの子どもたちが、みんな制服を着て集ってくれました。こんなにたくさんの人の前に、みんな平気なの?と思いましたよ。その時は(フリースクールを閉じようか)と悩んでいたんですが、生徒である女の子が私の横に座って『幹子先生、人生はね、山あり谷あり。色々あるんよ。だからね、常にプラス思考で生きていかないといかんのよ』と教えてくれたんです。その日も、学習塾に来たら出席扱いになるので、うちに個人的な事情があっても生徒さんを預かっている以上、フリースクールは開けないといけないなと思ってたんです。すると、卒業生が鍵を預かってくれて、学校を開けてくれて『先生は寝とっていいよ』と言ってくれて。ビックリしたけど、この子どもたちに支えられながらやなって思ったんです。今でも、私が育ててもらってるなって思う日々です。電話が鳴ってもすぐに立ち上がれなかったら、代わりにとってくれたりだとか、人と接するのが苦手な子が市場に買物に行ってくれたりだとか、みんなすごいな~と思います。」



先生と子どもたちの愛情からか、学習センターはアットホームで温かい。「どこかで誰か一人だけでもその子と向き合っていくことが大切だと思います」とも話して頂いた。

「子ども達に無条件の愛を」という思いで始まった茶屋町総合学習センター。「甘やかし」とは違う「あなたがあなただから、愛してる」という無条件の愛で、今日もフリースクールは開かれている。

 
基本理念

(1)援助を必要としている人たちの受け入れ
不登校生のみならずL.D.児や引き篭りの人達の居場所提供

(2)親御さんの援助
様々な問題を抱えた人たちは家族で苦しんでいる事が多く、お母さん達が安心していろいろな悩みを話しに来ることができる場を提供

(3)公開学習会
(2)に関連し、多くの学識者や不登校生問題から立直った人たちの話を聞く場を設ける

(4)復学の支援
不登校生はいつでも学校に戻れるよう、学校や教育委員会と連絡を密にしつつ、学校の教材などを使用し、学習の援助を行う

(5)引きこもりの人達の支援
メンタルフレンドを派遣し、外から風を送り込むボランティアなどの働く場を与え、生きがいを見つける機会を多く作る

コース

●小学生フリースクール
毎日(10:00~17:00 )授業料20,000円
●中学生フリースクール
毎日(10:00~17:00 )授業料22,000円
※入会時に、入会金として5,000円を納めていただくことになりますので、御了承願います。
※他に、高校生フリースクール(鳥海学園支援コース)や夏・冬休みの宿題道場あり。詳しくは、ホームページをご覧ください。

■北九州市八幡東区茶屋町9-7-102
■電話/FAX:(093)653-0873
■メール:takayan1@ac.auone-net.jp
http://www.ac.auone-net.jp/~cgsc/
■代表/高柳 幹子


 

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