おしえて先生

困る程、神経質。
現在小学一年生の息子が神経質で悩んでいます。保育園の頃からロッカーの中に、直接衣類を置くことができず、タオルを自分で持参し、その上に置かなければ納得しませんでいた。雨の日の通学でズボンが濡れると、その事ばかり気にして椅子にも落ち着いて座っていないと先生から注意されました。最近では洋服が濡れるから行きたくないと泣き出すようになりました。保育園の頃は、息子の性分と楽観的に見ていましたが、ほんの少しのことも許せないようです。どうしたらいいのでしょうか

-今回の教えて先生は、再掲載となります。-

A

  ご質問を拝見しながら以前聞いた話を思い出しました。からだ作リを方針にする県下のある園に入園したお子さんが、少しでも砂が体にかかると身ぶるいし、粘土遊びをすると触る度にすぐ手を洗いに立つので、担任が何とか心を解放して子ども達の好きな泥んこ遊びや、水遊びに誘い入れたいと努力を続け、漸く秋口になって砂場に入れるようになり、保育者たちが喜んだ矢先に、その子が吐血したというのです。
  本人が汚い、触りたくない思いをがまんして努力した、そのストレスからの胃潰瘍であったそうです。講演会で聞いた話ですから、その程度も、真偽のほども定かではありませんが全く無視することはできず頭の隅に残っています。
  さて、一年生の息子さんは多分、とても感受性の強いお子さんだと思います。外からの刺激を敏感に受け止める性質で、そのことで不安が増し、またその不安が感受性を更に強めていくのでしょう。
  「人生に必要なことは、すべて砂場で学んだ」というロバート・フルガムのことばにもあるように仲間との共通の遊びは、人間関係、知的好奇心、社会的ルールなど様々なものを身につける絶好のチャンスなのですが、極端な神経質は、その機会を失うことになり困りますね。
  いつも、ご質問に答えようとする時悩むのは、それまでの育ち方のプロセスがわからない点です。保育園時代からの性分とありますが、率直に言わせて 頂くと、子どもは、これまでの育てられ方を背景にそこに存在します。親は我が子を案ずる余り、つい「危ない」「駄目」「汚い、病気になるよ」など子どもの不安や心配が増すような言葉をかけがちです。生まれつき内気な性質をもっ子どもは、尚更、この親の不安が一層強く感染し、心配症になることも少なくありません。もし違っていたらごめんなさい。
  実は私も幼い頃、かなり神経質でした。昨今ほどではありませんが、当時としてはかなりの高齢出産で漸く授かった第一子でしたし、幼い頃、父の職 務の都合で外地にいた故もあって外出には消毒綿を持参するなど清潔については相当神経質に育てられたようです。今でも額などが歪んでいると気になりますが、神経質であっては生きていけない戦争中の体験などいろいろありましたから、大人になってからは大抵のことは気にしなくて済むようになりました。
  でも息子さんと同様、温泉などの脱衣棚にはタオルを敷いて衣類を置くのは今も続いています。
  この性質を直す方法を考えてみましょう。
  まず注意したいのは、本人が気にしているのに「濡れても心配ないでしょう」とか「おかしいわね」などを一笑に付したり批判すると逆効果になります。息子さんが気にして、心配するのは本当にそう思っているからで、それが分かってもらえないとかえって不安を強めます。また、理屈で納得させるのも賢いやり方ではありません。「僕の気持ちを分かってくれない」とかえって気にします。むしろ共感してあげることで不安は減少します。
  それよりも日常生活に笑いを誘うような話題を増やすよう心がけてください。もし、可能なら夏休みなどパパにも協力してもらって家族で素朴なキャンプなど不自由な生活を楽しんでみませんか。山や海など自然の中で生活すれば食事だって手づかみ、テントで寝れば、濡れた、汚れたと気にする暇はないでしょう。キャッチボールや水泳など体を動かす運動でおなかをすかせれば神経質な行動はできないでしょう。
  ただ、始めに述べたストレスによる吐血なんてこともあるかもしれませんから、まずは明るい話題を増やす。家族で不自由な生活を楽しむ体験を広げていくとよいでしょう。プールなどは早くに始めた友だちは次第に上達していますし、高学年になると友だちほど上手くできないことを気にするかもしれませんから始めるなら早い方がよいでしょう。

 

 
 

1946年、京都女子専門学校保育科を卒業後、光沢寺保育園に入職。以後一貫して乳幼児保育に従事。現在、光沢寺第二保育園園長。北九州市保育所連盟会長、国際婦人開発基金(ユニフェム)日本国内委員会北九州地域等委員会会長、財団法人アジア女性交流研究フォーラム理事、同児童福祉施設等第三者評価委員会・同社会福祉審議会各委員等(以上、現職)。この間、全国社会福祉協議会全国保育士会会長、福岡県保育協議会会長・同保育士会会長、福岡県立大学・西南女学院短期大学非常勤講師等を務める。


●仲間達への定期便(西部読売開発出版部)
●育てよう、いきいきっ子(共著、蒼丘書林)
●子どもと環境(共著、蒼丘書林)
●感性を育てる保育実践領域環境と感性(共著、ミネルヴァ書房)
●感性を育てる保育実践領域人間関係と感性(共著、ミネルヴァ書房)
●感性を育てる保育実践領域言葉と感性(共著、ミネルヴァ書房)
●保育園の窓辺から…(蒼丘書林)
●視点はいつも、子どもたち 保育園の窓辺から…PART2(蒼丘書林)


 

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